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コーストライン
第2章 黒電話




打ち上げが終わりパラパラとBARから参加者が出ていく。

打ち明けた者同士で次の店に行く者もいれば、そのままBARに腰を据えている者もいる。

叶和は一緒に店を出ようとしていた奈美にパウダールームに行ってくるからと待ってもらう。

パウダールームから出てきて出口へと向かおうとして、腕を掴まれた。



「帰るのか」

「はい、打ち上げでが終わったので」

「久し振りに話をしないか」

「話だけ?」



入口付近に視線を泳がせると、訳知り顔の奈美がニヤリと笑って手を胸の前で振って数人の知り合いと出ていくのが見えた。



「仕事放棄してもイイの?」

「放棄してない後はちゃんとスタッフに指示してきた」

「改めて久し振り、ちゃんとお店出しておめでとう」

「また叶和と逢えるなんて」

「だね」



嫌いで別れたわけではない。
かと言って、カレが忘れられないでもなく、カレと別れてから何人かの人を好きになった。

要はタイミング。

今日再会してたまたま叶和に付き合っている人もいなかっただけ。

カレが話をしたいと言って叶和も話をしたいと思っただけ。

嫌いで別れたわけではない。


カレの掌が慈しむように叶和の服の上から躰の線をなぞる。

ホテルに入り、期待に胸が高まる。

別れてからの年月、カレはどのように他の女を抱いていたのだろう。

もどかしい服の上からの刺激。

キュッとシャツの襟ぐりを掴みカレを引き寄せる。

ニヤリと笑ったカレに叶和は再び捕らわれた。






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