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コーストライン
第2章 黒電話
「おい、いつまで寝てんだ
叶和起きろ!」
「ん、。。。和希。。。」
叶和が目覚し時計を見ると、朝の8時を示していた。
「まだ早い。。。」
「折角会いに来たんだから、出かけるぞ」
「勘弁。。。休みの日はゆっくり寝たい」
「だから、男いねーんだよ」
「いるもん、アンタこそ春菜は?」
「学校、俺今日創立記念日で休み」
「。。。で」
「暇だから圭吾に連絡したら、叶和も休みだって」
「。。。で」
「だからそこら辺流そうかと」
「いってらっしゃい」
そんなやりとりがありながら、叶和は結局、和希の運転する車の後座席に座っている。
「なに、ぶそくってんだよ」
後座席の叶和はスッピン(だが、UV対策はバッチリ)で大きめのサングラスをかけて、身なりはスリムな穴開きジーンズにTシャツ、ニットパーカの出で立ちであった。
「折角年下のイケメンが遊んでやるって言うのに」
「自分で言ってて恥ずくないの」
「は、俺達結構モテんだけど」
「聞いてないし」
「折角、弟がこうして姉を気遣ってんのに」
「頼んでないし」
「ってか、母さんが今日の朝ウチの電話に繋がらないって心配してたぞ
圭吾に聞いても、圭吾も家電使ってないって言うし、昨日夜家電したら繋がってねーし、来てみたら線切ってあったな」
「。。。このところ、間違い電話が多くてウザいから夜線抜いてたんだ」
「。。。そっか、後で母さんに連絡しとけよ」
「OK」
昨夜も、無言電話がかかってきて線を抜いたままにしていたのだった。
たまに叶和が休みの日に母が電話をしてくるが、それが今日だった。
タイミングが悪い。
家族に心配をかけてしまった。
少し、罪悪感を感じてしまう叶和だった。