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コーストライン
第2章 黒電話
「和希、この後って決ってんの」
「んー、昼ぐらいに春菜から連絡来るまでの繫ぎだから適当」
「じゃあ、浜辺行ってくる」
スタスタと浜辺に降り、浜辺に落ちている砂を掘るのに手頃な流木を拾い波打ち際の近くの砂を叶和は掘り出した。
「何してんだよ」
「ガラス玉」
「俺、車の所にいるから」
そう言い残し和希はとっとと車の所に向かう。
「圭吾君も行ったら?
昨日もバイトだったんじゃないの
少ししたら私も行くから」
「ガラス玉って」
「もとは瓶とかの破片じゃないのかな
波と砂で研磨されて砂を掘り返すとたまに見つかるのだよ
思い出したからちょっと探してみようかな、なんて
手を使うと危ないからね、こうやって流木で掘るの」
「ふーん」
「で、手伝ってくれないんだ」
「見てるだけ」
叶和が棒で砂をかくのをと隣にしゃがみ込み手伝うこともなく、圭吾は黙って見ているだけだった。
そんな圭吾を気に止めるでもなく、叶和は作業を続ける。
波が打ち寄せる音。
砂をかく音。
会話がなくても圭吾との間には不穏な空気は不思議と生まれなかった。
カツン
砂の中で棒先に硬いモノが当たる感触がした。
手で探し当てると、水色の小さい鋭角さを無くした破片が叶和の掌にある。
「玉じゃない」
「名称だもん、ラムネの瓶っぽい」
見つけ出した破片を日にかざしながら、叶和は嬉しそうに頬を緩ませた。
「さて、戻ろうか」
流木をポイッと放り、和希が待っている所に歩きだしていた。