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コーストライン
第1章 ベルが鳴る




5月の 某大型連休



圭吾は 和希に誘われ、その会場に足を 踏み入れた。

毎年、行われる ウインドサーフィンの大会。

防波堤と浜辺の高さを利用しての観覧席。

防波堤横、散歩道を挟んで、屋台が立ち並ぶ。

浜辺には プレハブの2階建の関係者事務所があり、その側面を利用して 大きい電光掲示板が、設置してある。

出場者所属の チームロゴの入った、テントも浜辺に色を添えている。

海に目を向ければ、空と海の青、波の白、風を纏い進む、色とりどりの帆。



「もうすぐ、夏だな」

「だな」



どちらともなく、つぶやいていた。




防波堤の散歩道を 歩く 2人。
観覧席が途絶え、人気も疎らになる。

その防波堤に立ち、海を眺めている1人の女。

腰まで伸び真直ぐな 黒髪を 潮風に靡(なび)かせ
大きめの、サングラス越しに 沖をみすえている。

サマーニット地の ロングパーカーを羽織、その裾からは 程よい筋肉をつけた 健康的な 太腿が。

思わず、釘付けになっていた 圭吾の横で、



「なにしてんだ 叶和」

「おっ、和希」



和希が 女に 声をかけていた。



「和希、誰?」

「今日朝来るはずの姉貴」

「はじめまして」



圭吾、叶和 初対面の出来事だった。




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