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第5章 幸村 順一

「今はいない。心配しなくても脱衣室も浴室も鍵かかるよ。着替えは廊下に置いとくから、早く入ってきて。風邪引くよ！」

奥さん、出掛けてるのか…でも、奥さんのいない間に女を引っ張り込んで、という様子でもなく、私の手を引っ張って連れて来たのはお風呂。

「…シャンプー…あったかな…」

と呟きながら戸棚や引き出しをガサガサ漁って、試供品、と書かれたシャンプーとリンスのパックを出してきた。

「コレでよかったら使って。タオルとドライヤーはコレ。化粧品は…悪いけどない。」

それだけ言ってその人は脱衣室から出て行った。
どうしたらいいかわからないまま、少し突っ立ってたけど、意識したら寒くなって来て、仕方なく、お風呂を借りることにした。

脱衣室に鍵を掛け、服を脱ぐ。
洗面台に並んだ、歯ブラシは、水色のと、黄色の小さいのの2本。
奥さんが使ってるにしては小さい。明らかに子供用だった。
女性で口の小さい人は、子供用の歯ブラシを使う人も居るけど…それにしてもこんなキャラクターのわざわざ買う？
少し疑問に思いながらお風呂に入る。