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第5章 幸村 順一

浴室の鏡の前に並んだシャンプーも、男性用のネイビーのポンプボトル。
それと、キャラクターモノのリンスインシャンプー。
なんだろう、女性の影がない…
そこまで考えて、奥さんが居るなんてウソだったのかも⁉︎と焦った。

廊下に着替え置いとくなんて言って、私が上がった途端に襲われたりしない？

急にドキドキして、上がって、タオルでしっかり体を拭いて、下着までは濡れてなかったから、元々着けてた下着を着けた。

濡れた冷たいワンピースを着て、そろーっと脱衣室の扉を開けると、手付きの籐のカゴに、洋服が一揃い畳んで入れてあった。

…嘘じゃ、なかったんだ…

そっとカゴを取って、また脱衣室に鍵を掛ける。
中身は、スウェット地のロングスカートと、パーカー、インナーのTシャツに、カップ付キャミと、黒い靴下。ご丁寧に上下の下着まであった。こんなモノがあるってことは、やっぱ奥さん、居るの…？

他人のプライバシー、とは思いながら、こっそり引き出しや戸棚を開けて、化粧品や女性の痕跡を探してしまう。
洗面所には何もなかった…