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手を繋ごう〜愛憎II〜
第13章 不穏
「うわぁっ」

布団から飛び上がる。

1ヶ月前に起こした、豊の犯行。

萌と誠が付き合い始めた時、とてつもない空虚感が襲い、自分自身のストレスとうまくコントロール出来なくなっていた。

母親が階段から落ちた事は警察にも、学校にも聞かれた。

「階段から落ちた事は全く気付かなかった。」

そう答えてた。

何度も何度も繰り返し見る夢に

「ハハ…ハハハハハ…」

乾いた笑みが零れる。

母親は重傷を負い、入院は3ヶ月と言われている。


「壊してやる。ぶっ潰してやる」

呟く様にブツブツと呟く豊。


次の標的は

「僕の萌とあいつ…だ…」

張り付いても張り付いても、入る隙が無かったが、ようやく、仲間が出来た…。

感極まって

ふふ…ふふふふ…

不気味な笑みをこぼした後、

「今日は、順位が発表される日だ…」

と、呟くように言う。

母からの愛情に飢えていた豊は誰かに尊敬の眼差しで見られると言う事を快感になっていた。

そうでもしないと、自分は消されてしまう…そうも思っていた。

勉強しか取り柄がない。

幸せなんてない。

そんな事すら思うようになっていた。

「川仲誠…あいつさえいなければ…」

萌ちゃんに見て貰えたはずなのに…。

実際は誠がいなくてもどうか分からない所だが、異常なまでに豊は誠に敵意を向けていた。

「どうしたら…僕を見てくれる?萌…」

頭の奥の方にある萌の笑顔を思い浮かべ、豊は呟いていた。

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