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手を繋ごう〜愛憎II〜
第25章 学校閉鎖と墓参り
「話を聞いてる限りでは俺は一人しか浮かばない。俺たち以上に何かを抱え込んでて、何かの欲求を満たそうとしているヤツ。…そして、萌ちゃんと唯ちゃん、二人の関係性を一番近い場所から見物出来たヤツ。」
「やっぱり…榎本豊……」
誠は呟くように言う。
「俺は、そう思う。」
少し沈黙が生まれる。
だから…と、波留は続ける。
「これ以上引っ張られるな。しかも、あいつ、本気でやろうとしてっかもしれないけど、お前らが目的じゃない。恐らく、もっと深い所を目的にしてる可能性が高い。
あいつにとっちゃ重大な事でもな。ゆう先生とか援助者に関わろうとせずに、お前らに執着する。第三者の俺から見たら、ただの……」
そこで波留は言葉をストップした。
「俺、本気で防弾チョッキでも用意しようかな?」
誠は苦笑いして言う。
「そこまでする必要があるかわかんねー。真面目に関わろうとしたら、もしかすると、お前が懸念する方に向いちまう可能性も高いし…恐らくゆう先生が今やってる対応で良いんだと思うよ。」
「波留。お前何大学で専攻しようとしてる?」
細かい分析力に、誠は疑問を覚える。
「それは、三年後のお楽しみ♪」
いつもの茶化すような顔を見せた波留に、誠は恐らく、ここで波留は話はしないだろう…と、思った。
「さて、本当のトイレをして、俺は戻るぞ」
うう…漏れる…。
そう言いながら、便器に向かう。
本気でトイレがしたかったらしい。
「これ、萌にも話しといた方が良いか?」
その誠の言葉に
「客観的に見つめるためには、言った方がお前らの為になると思うよ。……今、萌ちゃんが崩れたら、本気でやべぇんだ。お前まで惑わせるな。しっかりしろ。その為に俺らもやってんだから」
その言葉に誠は
「……ありがとう……」
と言った。