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手を繋ごう〜愛憎II〜
第6章 憂鬱
迅る気持ちで、玄関のドアを閉める。

ボタボタボタ…

涙が溢れて来て、少しずつ美咲は座り込む。


「ふっぐ…たか…隆……助けて……」

嗚咽が漏れる。


あの時に、縋りつけば良かったじゃないか。

怖くて不安でどうしようもない気持ちを隆にぶつければ。

けれど、変なプライドが美咲を邪魔をする。


苦しくて苦しくて、でも、言葉に言い表せない、この気持ち。


(一緒に居過ぎた?…そうじゃない。私が意地を張ってるだけ……)


嗚咽が止まらない。


美咲は慌てて、靴を脱ぎ、自分の部屋である二階への階段を駆け上がる。

親が帰って来る時間。


思いきり、ベッドにダイブをして、美咲は泣き続けた。







翌日、放課後、腫れぼったい目をした美咲は、吹奏楽部のオーボエパートの部屋にいた。

日中、仲の良い友人や隆に目を指摘されたが

「なんでもないわよー」

なんて、言って、かわしていて。

でも、苦しくて仕方がなくなり、

「行こう」

そう思った。



もちろん、片手にはオーボエケース。

二週間前に引退した教室をガラリと開け、

「やっほー!」

と、オーボエパートの部員達に声をかける。


「わあ!美咲さん、どうしたんですかー?」

高橋萌が、嬉しそうな顔で近寄ってくるのを皮切りに、今はリーダーを務めている小橋カンナ達も駆け寄って来た。


「なぁんか、吹きたくなっちゃって。何年も吹いてるのに、すっかり吹かなくなるとダメねぇ〜」


そう言って、オーボエケースからオーボエを取り出した。


「じゃあ、音合わせから行きますか」

と、小橋カンナが言い、オーボエを吹くのを皮切りに

他の部員達も、オーボエを吹き出す。


「おー!萌、また腕が伸びたんじゃないの?」

美咲は萌に声をかける。

「そんな事無いですよー」

と、照れ臭そうに笑う萌。

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