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第7章 北川 樹
遙はさっきより苦しそうに顔を歪め、あ〜、とか、う〜、とか唸るような声を出す。
俺はどうしたらいいか分からないまま、遙の手を握った。
遙はホッとしたような顔で俺を見上げた。
「樹さん…」
「大丈夫か?」
「…ん…」
と言った遙の顔が歪む。
「…あ、あぁ…」
「…全開です!先生はまだ?」
助産師さん、ていうらしい、が緊張感のある声で看護師らしき女の子に聞く。
聞かれた看護師が院内PHSを掛けようとした瞬間、ネイビーの上下を着た産科医の先生が入ってくる。
「遅くなりました!もう全開?」
「はい!」
「北川さーん、大丈夫?」
なんか、自分に言われてるみたいだけど、遙に言ってるんだよな。会社ではずっと旧姓で通してたし、病院に付き添った時くらいしか遙が北川さんって第三者に呼ばれるシーンを聞かないから、未だに違和感がある…
俺はどうしたらいいか分からないまま、遙の手を握った。
遙はホッとしたような顔で俺を見上げた。
「樹さん…」
「大丈夫か?」
「…ん…」
と言った遙の顔が歪む。
「…あ、あぁ…」
「…全開です!先生はまだ?」
助産師さん、ていうらしい、が緊張感のある声で看護師らしき女の子に聞く。
聞かれた看護師が院内PHSを掛けようとした瞬間、ネイビーの上下を着た産科医の先生が入ってくる。
「遅くなりました!もう全開?」
「はい!」
「北川さーん、大丈夫?」
なんか、自分に言われてるみたいだけど、遙に言ってるんだよな。会社ではずっと旧姓で通してたし、病院に付き添った時くらいしか遙が北川さんって第三者に呼ばれるシーンを聞かないから、未だに違和感がある…