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第7章 北川 樹
「お母さんはまだ、後産があるから。赤ちゃんとはもう暫くお別れね。今、朝の6時になるところだから。」

産科医の先生の言葉に後産てなんだろう…と思ったら、先生は遙の腹をさすりながら切られた臍の緒を手綱のようにゆっくり引っ張る。

ズルッと、何かが出てきた。
胎盤は赤ん坊と一緒に出てくるわけじゃないんだな…先生がそれを処理している間に看護師が遙の腕に点滴の針を刺す。

「子宮を収縮させるお薬ですよ。冷やした方が収縮しやすいので冷やしますね。」

そう行って点滴をぶら下げた後、タオルで包んだ保冷剤を遙の腹に置いた。

「暫く休んでくださいね。2時間ほどしたら病室に移りますから。お母さんは休んだ方がいいので寝れたら寝て下さいね。ご主人様もお疲れ様でした。出来ましたら奥さまはゆっくりされた方がいいかと思いますので、ご主人様もお仕事差し支えなければ休まれた方が…」

暗に帰れと言われているようだったので、ハイ、と頷いて、じゃ、また来るから、と遙に告げる。うん、とぼんやりした返事を返され、俺は部屋を出た。
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