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第13章 萩原 隆行
左手で、恐る恐る美佳ちゃんの左手の薬指に、指輪をはめた。

美佳ちゃんは、目を丸くして、俺の動作に見入っている。

掌の向こうに、色とりどりの花火が咲いて、散る。

「前に、言ったけど。どうしても、指輪と一緒にもう一度言いたかった。美佳ちゃん、僕と結婚して下さい。」

「…隆行くん…」

「………」

きっと、否定はされない。
だけど、緊張する…

「キレイ…」

指輪、だよな…? 花火か…?

「打ち上げ花火は、消えて無くなるけど、この花火はずっと消えないね。…ありがとう、隆行くん。…すっごくキレイ。嬉しい…」

美佳ちゃんがにっこり笑う。

その笑顔を見ただけで、色々悩んだり焦ったりしたのが、報われた気がした。

その後も、手は下ろしたけど。花火が終わるまでずっと、握った手は離さなかった。

花火が上がらなくなって、2人で車に移動する。

車の中で、そっとキスをした。

「…このまま、送って行くつもりだったけど…」

帰したくない…俺のそんな気持ちを見透かすように。

「…まだ、帰りたくない…」

美佳ちゃんが呟く。

「泊まっても、いい?」

美佳ちゃんが、こく、と頷いて。

俺はホテルに向けて、車を発進させた。









ーfinー








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