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第17章 田嶋 紗栄子
後々のことを考えて、それで土地を買ってマンションを建て、毎月そこそこの家賃収入を得るようにして、その一部を贈与税の対象にならない程度のお小遣いとして、毎年陽介さんと敬さんに振り込んでくれている。
お店は大きくなることも人を増やすこともなく、相変わらずこぢんまりと営業していて。
でも、家賃収入があるおかげで生活に困るとか、金策に駆けずり回る、というようなこともない。
皆、この、テーラーの仕事が好きで。
この店だから、と通ってくださる少数のお客様がいて。
その人達の為に真摯に仕事を続けて行っている。
結婚して1年ほどで、私は妊娠して、男の子が生まれた。
3年後には女の子も生まれて、私たちは一男一女の両親として、幸せに暮らしている。
あの時、安定してない自営業はイヤだ、と敬さんを振った彼女の顔も名前も、ましてやあの後どうなったのかも、(安定した職業の人と結婚したのかも)私は知らないけれど。
時々、残念でした、結構安定した生活できてるわよ、なんて、意地悪くほくそ笑んでしまう。
ーfinー
お店は大きくなることも人を増やすこともなく、相変わらずこぢんまりと営業していて。
でも、家賃収入があるおかげで生活に困るとか、金策に駆けずり回る、というようなこともない。
皆、この、テーラーの仕事が好きで。
この店だから、と通ってくださる少数のお客様がいて。
その人達の為に真摯に仕事を続けて行っている。
結婚して1年ほどで、私は妊娠して、男の子が生まれた。
3年後には女の子も生まれて、私たちは一男一女の両親として、幸せに暮らしている。
あの時、安定してない自営業はイヤだ、と敬さんを振った彼女の顔も名前も、ましてやあの後どうなったのかも、(安定した職業の人と結婚したのかも)私は知らないけれど。
時々、残念でした、結構安定した生活できてるわよ、なんて、意地悪くほくそ笑んでしまう。
ーfinー