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第18章 幕間…SS集…③

萩原 隆行





車を停めたのは、一軒のホテル。
六甲山を有馬方面に抜ける途中の山の中にあった。
携帯のナビで検索した時、こんなトコ、需要あんのか、と思ったけど。口コミとか見てる限りだと、経営が変わったり改装したりしながら、この場所にずっとある、ような感じだった。
ホテル自体は三ノ宮近辺にもあるチェーン展開のトコで、別店舗には行ったことあるし、改装してるから外観もそんなに古くない。
その辺何となく安心した。

車にもナビはついてるけど、この車は親父のだから、検索履歴にラブホテルなんて残したくなくて。
美佳ちゃんに携帯を持ってもらってチラチラ見ながら走った。

ま、山ん中の一本道だから迷うことはなかったけど。

「このホテル…こんなトコにもあるんだね…」

「ね。俺もビックリしたけど…ま、ここならチェーンだから、おんなじようなもんだと思うし。」

言い訳しながら車を降りると、美佳ちゃんもこくんと頷いてついてくる。

建物に入って部屋を選び、個室に入るとちょっと人心地ついた。

風呂に湯を張りながら、バッグの中からリングのケースを出して、美佳ちゃんに渡す。

美佳ちゃんはにっこり笑って大事そうにケースを両手で包み込み、自分の巾着タイプのバッグにしまった。