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第21章 幸村 昌希
「じゃあ…母さんが貰っても良かったんじゃないの?」

『私は、もう幸村の人間なの。だから、瞳さんのネックレスをお借りできるのよ。冠婚葬祭のときくらいしかつけないし、コレで十分。だから、由香さんが大事に使ってあげた方が、昌幸さんのお母さんも喜ぶと思うの。安いものじゃないけど、道具は使ってこそ価値があるものだから、ご好意はありがたく受け取りなさい。』

「…いいんでしょうか…」

『あちらから持ってきてくださったものだもの。ダメなら最初からくれないわよ』

母さんがカラカラと笑うと、由香も笑って、

「じゃあ、大切に使わせて頂きます」

と言った。

「とりあえず、深谷さんのお母さんにも、電話1本入れるからさ、連絡先教えて?」

母さんが読み上げた番号をメモに控え、電話を切った。

メモを見ながら、慎重に番号をタップする。
数コールの後、

『はい、深谷でございます』

穏やかな女性の声が聞こえた。

「もしもし、おばあちゃん。昌希です…」





ーfinー






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