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第2章 高野 正一郎
俺の祝言の日になった。
横に座ったゼンエモンの娘は、タエと言うて、歳はトキエと同じ。
親父を信じてなかったワケやないけど、まぁまぁ別嬪、と言えん事もなかった。
祝言を終え、風呂に入って二階の寝間に行くと、単衣のタエが座っとった。
あぁ、そうか。
初夜か…

女を抱くのは初めてやない。
出稼ぎ先で、従兄弟の兄貴に連れていかれて女郎宿に行ったのが初めてやった。

女郎宿は何度か行った。

素人の女は…トキエしか知らん。

ま、結婚するまで未通娘(おぼこ)で居る女も少ないし、タエも二十四なら男の一人や二人知っとるやろ…気負うこともない。

寝間着の浴衣を脱ぎ捨て、タエを組み敷いた。
単衣を割り、乳に手を掛けた時。

一瞬、タエの姿が、トキエと重なる。
ぶんぶんとかぶりを振って気を散らした。


「…どうしたん…?」

「…何でもない」

「…あのオンナのこと、考えとったん? 気にせんでも、どうせあのオンナも今頃旦那に抱かれとる…アンタより金を選んだ薄情なオンナや。今頃旦那の下で随喜の涙を流しとるわ…」

「………どういうことや…何でお前がトキエのこと知っとる…」

弄り掛けた乳から手を離し、身を起こす。
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