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第2章 高野 正一郎
「そうさせたんはお前の余計な口や。自業自得じゃ、ボケ。祝言挙げて早々に返された、言うて後ろ指指されたらええ。」

「アンタの家やっておんなじ事よ?」

「わかっとるわ。お前みたいなオンナと添うくらいやったら後ろ指くらい指されたる。一生独りの方が何ぼかマシや!とにかく、お前だけは願い下げじゃ!何があろうとな!」

俺は二階の寝間を出て、下に降りた。向かいの棟の客間に上がり、布団も敷かず、畳に転がった。

腹が立って眠れなんだ。

翌朝、別々の部屋から出てきた俺とタエに、親父とお袋が目を見開く。

「…………」

無言のまま俺を睨みつけるタエの、襟首を掴んで無理矢理縁側に引っ張って行った。

「ちょ!何すんの!離して!」

「正一郎?何をしよるんや⁉︎」

開け放った縁側から、タエを放り出した。

「キャア!痛い‼︎」

「正一郎⁉︎」

「嫁なんぞ要らん!今すぐ出て行け‼︎」

「正一郎‼︎ 」

「兄貴!」

浩次郎が慌てて庭先に降り、タエを抱き起こした。
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