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第26章 武井 祥悟 & 沙織 ー made in kobe ー

お正月あけの週末、夕飯の後のデザートタイム。

「祥悟くん、バームクーヘン買ってきたんだけど、コーヒーと紅茶どっちがイイ？」

「…ん〜。バームクーヘンてどこの？」

「ユーハイムの。」

私はパッケージを開けて見せた。
神戸では割とポピュラーな、バームクーヘンの量り売り。
波打った円柱の大きなバームクーヘンが回転台に立てて置いてあって、ひと切れひと切れ店員さんがナイフで切ってくれる。個包装じゃないから日持ちはしないけど、すぐ食べるなら十分。
バームクーヘンの層を潰さないように扇型に抉るようにカットしてくれる、独特のスタイル。
種類もプレーンとチョコは大体あって、あとは季節に応じて抹茶や紅茶、春にはさくらのフレーバーなんてのもあったっけ。
今日買ったのは冬限定のガナッシュ。普通に売ってるチョコレート味よりチョコが濃厚で、周りもチョコレートコーティングしてある。

「あ、チョコだ！俺コレ好き‼︎」

知ってる。だから買ってきたんだってば。

「んー、コレなら紅茶のがイイかなぁ…あんまりフレーバー強くないのがいい。」

「了解。」

私は清水さん直伝の方法で紅茶を淹れた。