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第27章 幸村 順一

千春を抱いたまま、微睡む。

「ねぇ、あっくん。」

「ん？」

「引き継ぎ、大変なんでしょ？」

「…ん、まぁな…」

「私…さ。担当じゃないけど、仕事の合間にあっくんのお客さんの情報、纏めようか？」

「え？」

「西田さんの引き継ぎの時、頼まれてしたことあるの。担当の主要得意先に流れてる商品とか、契約単価とか、数量で請求額も出るし、それに入金状況とか纏めて過去3年分くらい。それで大体いつの時期にどんな注文が入ってるか、とかも見えるし。エクセルの表があればそこからグラフにも展開できるし、分析資料にもなるでしょ？あってもいいと思うけど。」

「…それ…俺作ろうと思ってたんだけど…なかなか手が回らなくてさ…頼んでもいいの？」

「いいよ。担当外でも、別に顧客情報見るのは悪いことじゃないし。私は仕事も比較的余裕あるし。3社〜５社分纏めるくらいなら業務の合間で、何日か…1週間もあれば十分できるから。」

「マジで…それあるとすっげぇ助かる…」

「あっくんは、引き継ぎに専念して。纏めたらメールか社内用のメディアで渡すから、そこに得意先のクセとか、色々コレあった方がいいなーていうの加えてくれたらいいと思うんだ。」

「ありがとう、千春…」

「同じ会社で良かったね。」