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第2章 高野 正一郎
「お前…度胸だけは一人前やの。お前みたいな女知らんわ。俺にそんなこと言うた女、お前が初めてや」

菊乃はむせ込んどったけど、俺は笑い過ぎて涙が出て来たから、指で目の端を拭う。

「よぅ解った。お前の事、満足さしたる。覚悟しとけよ?」

コイツは、今まで見たことないオンナや。
姉貴やお袋やタエみたいな女特有の陰湿さがない。トキエみたいなほっこりした、優しい感じでもないんやけど…なんちゅうか、そう、カラッとしとる。トキエみたいに、優しいが故の、隠し立てというか…何考えとるかわからんようなトコもない。
思うたことが直ぐに顔に出る。
いきなり笑い出した俺への今の反応も、きょとんと小首を傾げてこっちの様子を伺う仔犬みたいや。まだ、ガキなんやろうな…

コイツを、俺の手でオンナにするのも悪うないかな…
目を逸らしてほくそ笑み。

「おら、帰るど!」

バン!とひとつ腰を叩き、家まで連れて帰った。



ー了ー



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