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第2章 高野 正一郎
「何しに来たん…」

「何しにて。お前こそ自分が何しとるかわかっとんのか?お前の嫁が実家の前で大騒ぎしとるて近所中の笑いモンじゃ。ふう悪い…とっとと帰るぞ!」

立つ気配がないから腕を掴んで立たそうとしたら、

「離して!」

と俺の手を振り解く。探し回って迎えに来たのに何じゃその態度は!

「早よ立たんか!この阿呆が!」

無理矢理引っ張り上げて前襟を掴んだ。
そしたらいきなり。

「何や阿呆て!何でうちがあんたに阿呆呼ばわりされなあかんの⁉︎うちが何したん?何でうちばっかりこんな目に遭うん?だいたい夫、夫て言うけどな、あんたがうちに何してくれたん⁉︎嫁のひとりも満足させられんで何が夫や、偉そうに!そない偉そうにすんねやったらうちを笑わせてからにして!そんなことも出来んで威張んなこのボケが!」

あまりの剣幕に、思わず手を離す。直ぐには言葉も出んかった。
何度か瞬きしたら、なんやおかしなって来て、腹を抱えて笑うた。
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