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第28章 萩原 義隆 ー 過去編 ー
少し休むだけ。

そう思ってホテルに入った。抱きつかれて、潤んだ目で訴えられ、胸が高鳴ったのは、事実。

でもそこで、じゃあ据え膳ということで、いただきます、なんて言えるほど若くはない。

及川をベッドに寝かし、軽く腰をかけて、起きるまで待っていてやろう、そう思った。

だが、及川が、泣いていた…

「…及川?大丈夫?」

そっと手を伸ばし、涙を拭いてやる。及川は私の手を両手で取り、甘えるように頬ずりした。

「…私の、何がいけなかったんですか…?」

「え?何の話?」

「何で、私じゃないの?初めての彼だったのに…私遊ばれてだけなんですか?」

知らんよ…なんて言えるわけがなく。よしよしと髪を撫で、慰める。

「及川は、可愛いよ。君を選ばないなんて、見る目のない男だな。」

「私…まだ誰かに愛してもらえるのかな…」

「君なら、大丈夫でしょう。」

「貴方も…?」

「え?」

「貴方も、愛してくれるの…?」

「…いや、それは…ちょっと…」

立場的にマズいというか…

「やっぱり!デマカセなんでしょう?私なんてきっと誰からも必要とされないまま、このまま年取って独りで死んで行くんです…」

うわぁ…めんどくさいコ潰しちゃった…
どうしよう….

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