この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
some more storys
第30章 幕間…SS集…⑤
新田 誠治 ーバイバイー


白い木の棺の中に横たわった、響子。
痩せてはいるが、綺麗に化粧してもらってる。
予算的に、いい花を沢山使ってるわけではないけど、百合の花を沢山棺に入れてもらった。
白い花の中で眠る響子は、お伽話のお姫様みたいだな。

「誠大。ママにバイバイして。」

「ママ、どこに行くの?」

「…お空…かな…」

「いつ帰ってくるの?」

「…もう、帰ってこれない…だから、ママに会えるのは、これが最後。バイバイ、できるよな?誠大は、男のコだもんな?」

誠大は、何か堪えるように唇を噛み締めていたが、

「バイバイ…」

と呟いた。俺の目から涙が溢れ、目尻を指で拭った。
母親が死んだ、という事実はまだよく理解できていないようだったが、もう帰って来られない、もう、会えないのだ、ということは子供ながらに察しているようだった。
棺の蓋が閉じられ、出棺の準備が始まる。

火葬場へは、俺だけ霊柩車に乗って。
後の家族はマイクロバスで移動して貰い、窯に入れる所までは全員で見守り。
子供達はもう限界だから、2人ともおかんに連れて帰って貰う。
骨揚げは俺と、響子の兄夫婦と、お母さんでやった。お母さんとお義兄さん夫婦に礼をいい、骨壷を持ってタクシーで帰宅した。
仏壇…買わなきゃな…どこに置けばいいのか分からんから、取り敢えず和室の座卓に骨壷を置き、ソファに寝転がる。

バイバイ…響子。

また、会う日まで。
何十年後か分からんけど、待ってて。

両手で顔を覆い、声を出して泣いた。
ずっと、誠大や満希と一緒だったから、思いっきり泣いたり出来なかった。でも、今は、独りだから。
独りなんだ、と実感したから。
泣いて、そのまま眠った。


/728ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ