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第30章 幕間…SS集…⑤


帰宅し、部屋着に着替えて、ふとカレンダーを見る。
あぁ、今日は月命日か…
ダイニングに下りて、夕飯を食ベる前に仏間に入る。
仏壇の花が新しく取り替えられ、焼き菓子が供えてあった。

菓子を下げ、線香に火をつけて線香立てに立てる。
手を合わせ、

「早いな…もう2年か…誠大も満希も大きくなったし、元気で過ごしてるよ。」

響子への報告を終え、仏間を出た。

「花、替えてくれたんだな。コレも。ありがとう。」

ダイニングに入り、桜子に礼を言う。

「あぁ、お菓子下げてくれたの。響子さんの、月命日でしょう?」

「うん。」

桜子は、出会う前に死んだ嫁なんて知らない、なんて言わず、そういうこともちゃんとやってくれる。本当にありがたい。
専業主婦の母親ができたから、誠大も満希も、進級のタイミングで保育園から幼稚園に転園して。そこでも割と早くに馴染んで、楽しく過ごせてるみたいだ。

誠大は、友達にもうバイバイも言えるようになったそうだ。桜子が嬉しそうに教えてくれた。

バイバイ、か…

バイバイは、永遠の別れなんかじゃないよ、誠大…
いつか、遠い未来に。
気が遠くなるほど遠い未来に、ママにだって会えるさ。
俺のが早いけどな。
長生きして、いっぱい色んな経験して。
ママに話して聞かせてやらないとな?
抱えきれないほどの土産話持って、そっち行くからさ、それまで待ってて、響子。
だから、その日まで。

バイバイ…




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