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第36章 間宮 涼香
私は22になり、家業の経理も少し手伝いつつ、同級生のお父さんが経営する塾で、講師が不足しているから数学を教えて欲しいと言われ、夜はその仕事もしていた。
弟の智之も中学生になって、でもまだ幼さの抜けない中性的な顔立ちは私ともよく似ていた。
ある日、智之が野球の試合を観に行きたいから、連れて行って欲しい、と言いだし、車を出した。
野球部でもないのに珍しい…と思いながら、試合会場である相手校まで送り届け、夕方また迎えに行った。
駐車場に車を停め、グラウンドに入る。
智之を探して歩いた。
ゲームの展開は、同点で延長回。
ツーアウト満塁。
智之の学校…私の母校でもあるけど…が守備。つまり、打たれれば負け、打ち取ればさらに延長、という緊迫したシーンだった。
客席に智之の姿を見つけ、声をかけようとして、違和感を感じる。
かっ飛ばせぇ〜!という相手チームの応援、負けじとばかり大きくなるこちら側の歓声、大声を上げて応援する観客たちの中、智之は固唾を呑むように、ピッチャーに魅入っている。
両手を祈るように胸の前で組んだその姿は、まるで恋する乙女のようだった…
同級生の、応援してるだけなのよ、ね?
なのになんでそんな切ない顔をしてるの?
その時ふと、高校の頃友達に借りた小説の話を思い出した。
弟の智之も中学生になって、でもまだ幼さの抜けない中性的な顔立ちは私ともよく似ていた。
ある日、智之が野球の試合を観に行きたいから、連れて行って欲しい、と言いだし、車を出した。
野球部でもないのに珍しい…と思いながら、試合会場である相手校まで送り届け、夕方また迎えに行った。
駐車場に車を停め、グラウンドに入る。
智之を探して歩いた。
ゲームの展開は、同点で延長回。
ツーアウト満塁。
智之の学校…私の母校でもあるけど…が守備。つまり、打たれれば負け、打ち取ればさらに延長、という緊迫したシーンだった。
客席に智之の姿を見つけ、声をかけようとして、違和感を感じる。
かっ飛ばせぇ〜!という相手チームの応援、負けじとばかり大きくなるこちら側の歓声、大声を上げて応援する観客たちの中、智之は固唾を呑むように、ピッチャーに魅入っている。
両手を祈るように胸の前で組んだその姿は、まるで恋する乙女のようだった…
同級生の、応援してるだけなのよ、ね?
なのになんでそんな切ない顔をしてるの?
その時ふと、高校の頃友達に借りた小説の話を思い出した。