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第4章 高野 皐月
家には、お母ちゃんと、お兄ちゃんが2人、おじいちゃんと、おばあちゃんと、おじさんとおばさんと、従姉妹のお姉ちゃんがおった。

おばあちゃんは怖かったけど、お父ちゃんとお母ちゃんは優しかった。
上のお兄ちゃんは、怒ったらちょっと怖かったけど、私にはあんまり怒らんかった。
下の敬三兄ちゃんも優しかった。
お父ちゃんは、夜寝る時も一緒の布団で寝てくれる。

「お前はずぅっとお父ちゃんとお母ちゃんと離れとってんからな、親らしいことさせてくれ。」

そう言うて、布団の中で抱き締めてくれる。
温い腕の中で、偶に苦しいくらいのそれは、凄い嬉しい。

お父ちゃんは床屋をしとって、自分の髪もいっつも綺麗に、なでつけとる。
十日にいっぺんくらい、「皐月、ちょっと来い」と言われて。行ったら絶対、ちょこっとだけ髪を揃えられる。自分で伸びてるか伸びてないかわからんくらいの時に切られるから、私の髪はいっつも、寸分違わんおかっぱで、お人形さんみたい。

夕ご飯の時は、お魚の骨も全部お父ちゃんが取ってくれる。

お兄ちゃんにはまた皐月だけか、て言われる。お母ちゃんも、ちょっと呆れとる。
でもお父ちゃんは、

「女の子のが可愛いんやからしゃあないやろ、なぁ、皐月?」

と全然気にしてなくて。私は、そんなお父ちゃんのことが大好き。
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