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第4章 高野 皐月
五つになった時、
「お父ちゃんとお母ちゃんが見つかったよ!迎えに来てもらえるで!」
と孤児院の先生に言われた。
迎えに来てくれたお父ちゃんは、背ぇが高うて、格好良かった。
私のうちは孤児院から汽車で何時間もかかる、と言われて。
「何で大阪の病院で産んだん?うちの近くやないん?うちの近くやったら、もっと早よ見つかったかもしれんやん。」
と聞いたら、お父ちゃんは笑いながら、
「前は皆で大阪に住んどったんや、空襲で病院も焼けたけど、住んどった家も焼けてしもうたから、お父ちゃんの生まれた家に帰ったんや」
と言われた。それで、その話は終わった。
それが、お父ちゃんのついた、優しい嘘やと私が知るのは、随分後になってからのこと。
「お父ちゃんとお母ちゃんが見つかったよ!迎えに来てもらえるで!」
と孤児院の先生に言われた。
迎えに来てくれたお父ちゃんは、背ぇが高うて、格好良かった。
私のうちは孤児院から汽車で何時間もかかる、と言われて。
「何で大阪の病院で産んだん?うちの近くやないん?うちの近くやったら、もっと早よ見つかったかもしれんやん。」
と聞いたら、お父ちゃんは笑いながら、
「前は皆で大阪に住んどったんや、空襲で病院も焼けたけど、住んどった家も焼けてしもうたから、お父ちゃんの生まれた家に帰ったんや」
と言われた。それで、その話は終わった。
それが、お父ちゃんのついた、優しい嘘やと私が知るのは、随分後になってからのこと。