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第4章 高野 皐月
学校で、男子にからかわれた時、私の事を貰われ子、と言うた子が居って。

「私は貰われ子やない!」

「貰われ子やってうちのお母ちゃんが言うとった!げんじろうのおばさんは男の子しか生まれへんから大阪から女の子を貰うて来たんやって!」

「違う!うちは皆大阪に住んどったんや!私が生まれた時、空襲で病院も家も焼けたから、皆んなでお父ちゃんの家に帰ってきたんやもん!」

「何を言うとんや。郁男兄も敬三兄もずっとこっちに住んどったわ!うちの兄ちゃんの友達やもん。大阪なんか行った事ないわ!」

「そんな事ないもん!」

そんなの、嘘やもん…

泣きそうになりながら、唇を噛み締めて家に帰った。

別の日、また大人の人らが、話しよるのを聞いた。

私が、家族で大阪に住んどった、と言うた、と。そしたら、あぁ、腹違いか、げんじろうの息子が出稼ぎに行っとった時にこさえた子なんやろ、と。

「…お母ちゃん。腹違いて、何?」

夜寝る時、布団を顎まで引っ張りあげながら、気になってた事を聞いてしもた。

「…腹違いいうたら、お母さんの違う兄弟のことや。お母さんが早うに亡うなってしもうたりしたら、お父さんが他の人と結婚することもあるん。そしたらお父さんは一緒やけど、お母さんが違う兄弟ができるやろ?それを腹違いというの。お父ちゃんにもお母さんの違うお兄ちゃんやらお姉ちゃんがいてるのよ?皐月からしたら伯父さん伯母さんや。」

「お母さんが生きとっても、お母さんの違う兄弟ができることってあるん?」

「…ないことはないけど、なんでそんなこと聞くの?」
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