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第5章 井上 翔太
夏の終わり。
俺は神戸営業所に異動願いを出した。
神戸で1人退職者が出て、下期から欠員がある、て話を聞いて。ウチのチームも、俺の他は課長と巽がいるだけだから、別に手が余ってるってワケではないんだけど、本社は人数も多いから、俺の穴を埋めるヤツくらいいくらでもいる。
異動願を出した表向きの理由は、神戸の販路に興味があるから。
ホントの理由は、辻本さんと北川さん、2人の近くに居るのが辛かったから。
辻本さんのことは、密かにずっと好きで。
いつか告ろう、って思ってたのに。
北川さんに先を越されたっていうか。
早い話が敗けたワケで。
社内恋愛の敗者に残されるのは、針の筵だ。
振られてヘラヘラ笑っていられる程、ツラの皮は厚くない。
おめでとうと見守れるほど達観もしていない。
だけど、表向きは笑って何もなかったフリをしなきゃいけない。コレが結構辛かった。
それに、俺が辻本さんに振られた時に、ついとってしまった子供じみた脅しが、北川さんの逆鱗に触れて、手厳しいしっぺ返しをされた。それもあって、北川さんも苦手になった。
正直、直ぐにでも離れたかった。だけど、この不景気に、会社を辞めてイチからやり直す度胸もなく。俺はずっと居心地の悪い思いをしながら、二人の前から逃げ出す機会を伺ってた。
俺は神戸営業所に異動願いを出した。
神戸で1人退職者が出て、下期から欠員がある、て話を聞いて。ウチのチームも、俺の他は課長と巽がいるだけだから、別に手が余ってるってワケではないんだけど、本社は人数も多いから、俺の穴を埋めるヤツくらいいくらでもいる。
異動願を出した表向きの理由は、神戸の販路に興味があるから。
ホントの理由は、辻本さんと北川さん、2人の近くに居るのが辛かったから。
辻本さんのことは、密かにずっと好きで。
いつか告ろう、って思ってたのに。
北川さんに先を越されたっていうか。
早い話が敗けたワケで。
社内恋愛の敗者に残されるのは、針の筵だ。
振られてヘラヘラ笑っていられる程、ツラの皮は厚くない。
おめでとうと見守れるほど達観もしていない。
だけど、表向きは笑って何もなかったフリをしなきゃいけない。コレが結構辛かった。
それに、俺が辻本さんに振られた時に、ついとってしまった子供じみた脅しが、北川さんの逆鱗に触れて、手厳しいしっぺ返しをされた。それもあって、北川さんも苦手になった。
正直、直ぐにでも離れたかった。だけど、この不景気に、会社を辞めてイチからやり直す度胸もなく。俺はずっと居心地の悪い思いをしながら、二人の前から逃げ出す機会を伺ってた。