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続・飼っていたペットに飼われています。
第27章 春の風はいつも君に優しい。④(スイ目線)
 震える両手でカップを支えながら涙混じりの声でサキが続ける。
「だってあれはスイさんの彼女の服なんでしょ? 嫌! 絶対もう着ない!」
「サキ…。」
「その人、そんなに綺麗な人なの? 私じゃぜんぜん叶わないくらい?」
「…綺麗な人だよ。サキと同じくらい。」
「……あの黄色いノートに書いてあった英語と日本語の歌詞、スイさんが全部その人のこと想って書いたの?」
「…見たんだ。そうだよ。」
「私、あの人嫌い。スイさんがいつも好きだよって言ってるのに気づかないふりして傷つけて。でも新しいページでは急にスイさんのこと怒って振ったりしてて性格悪い!」
「そんなこと言うな。すごく優しくて、我慢強くて、大人で、でもすぐ泣いちゃう所もある可愛い人なんだ。サキよりは少し大人しくて恥ずかしがりやだけどよく似てるよ。」
「私は嫌い! そんな人早く別れて!」
「…サキ、聞いて? 俺は確かにその人のことがずっと好きで好きで結婚したかった。でも…、もう彼女とは会えないんだ。」
「なんで?」
「俺がすごく悪いことを彼女に沢山してきたから、もう俺のこと忘れちゃったんだ。」
「彼氏を忘れるなんて最低じゃん!」
「そんなことない。俺が悪いから仕方ないんだ。」
「…なんでその人のこと、そんなに庇うの? 私と何が違うの? 私じゃ……ダメ? 来年になったら結婚だって…、」
「一緒だよ。いまのサキも彼女も同じくらい大切。ただ、過ごしてきた時間が違うだけ。ただ…。」
「ただ?」
「いまのサキには誰より幸せになってほしくて、彼女は…。やっぱり、どんなに傷つけてしまっても俺が幸せにしてあげたかったって思うんだ。…わかってくれる?」
「………うん。」
「ごめんね、サキ。俺の服だったら着れる? でかいと思うけど。」
 無言で頷いた彼女に俺の黒のTシャツを渡すと、脱衣室の扉を閉めてそのままシャワーを浴びる音がする。
 その中にはずっと嗚咽が混ざっていて、胸が痛くなった。
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