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続・飼っていたペットに飼われています。
第30章 【微裏】春の風はいつも君に優しい。⑦(スイ目線)

パスタを平らげたあと、朝食に食べ損ねたパンケーキも食べたいと言うのでカフェオレと共に出してやると、いつもの通り彼女はきゃっきゃとはしゃぐ。
「わー! 今日はキャラメルソースだ! バナナもとろとろになってる! 本当に全部お店のみたい。スイさんってお料理屋さんとかもやってたの?」
「…いつも大げさだよ。1回食べたらだいたい何でも作れるから。」
「はぁ、すごいなぁ…。スイさん、カッコいいし、何でも出来るし。…ねえ、やっぱりまだ、あの歌詞に出てくる女の人のこと好き?」
「好きだよ。ずっと好きだし、毎日どんどん好きになって辛い。」
「あーー! もうやだ! ずるい! なぜか1年に1回急にしか会えないし、スイさんもこの部屋も時間止まってるみたいだし。本当は全部サキが作った夢なのかな?」
夢だったら本当によかったのにね。でも、手を伸ばして摘むように触った彼女の頬は温かくて柔らかくてそこに確かに存在していることを教えてくれる。
「すいひゃん、いたくなひよ。つねっへも優しひから。」
「うん、サキに痛いことなんてできないよ。あと、曲描いたけど聴く? 昨日サキのために作ったやつ。」
音符と英語を並べた楽譜を渡す。
「えっ? …ええっ? ほんとに? ほんとにサキのために?」
「うん。英語だから後で一緒に訳そう。とりあえず聞いてて。」
ベースを組んだ脚に乗せて優しく歌う。昨日、彼女の寝顔とこれまでの3日間のことを思い出しながら作った曲だった。
「…なんか、すごく綺麗だけど…。悲しい。なんで涙が出てくるんだろ? 日本語の訳教えて? タイトルは…。」
「『スプリングブルーム』だよ。自然界に春が来る現象のことなんだ。海は沢山プランクトンが産まれて水の色が変わって、そのプランクトンを食べて色んな生き物が成長して、繁殖して…。命を繋ぐんだ。陸では植物が一斉に芽を出して花が咲き揃うって感じかな。」
彼女の頬を伝う綺麗な雫を指で拭いながら続ける。
「スプリングは春で、ブルームは咲くって意味。俺にとってサキは名前の通り、胸に咲いた花みたいな感じだから。遊園地に行ったときも、水族館に行ったときも、桜が舞った風の中にサキの髪がなびいてすごく綺麗だった。だから……。俺はその風になりたい。」
「わー! 今日はキャラメルソースだ! バナナもとろとろになってる! 本当に全部お店のみたい。スイさんってお料理屋さんとかもやってたの?」
「…いつも大げさだよ。1回食べたらだいたい何でも作れるから。」
「はぁ、すごいなぁ…。スイさん、カッコいいし、何でも出来るし。…ねえ、やっぱりまだ、あの歌詞に出てくる女の人のこと好き?」
「好きだよ。ずっと好きだし、毎日どんどん好きになって辛い。」
「あーー! もうやだ! ずるい! なぜか1年に1回急にしか会えないし、スイさんもこの部屋も時間止まってるみたいだし。本当は全部サキが作った夢なのかな?」
夢だったら本当によかったのにね。でも、手を伸ばして摘むように触った彼女の頬は温かくて柔らかくてそこに確かに存在していることを教えてくれる。
「すいひゃん、いたくなひよ。つねっへも優しひから。」
「うん、サキに痛いことなんてできないよ。あと、曲描いたけど聴く? 昨日サキのために作ったやつ。」
音符と英語を並べた楽譜を渡す。
「えっ? …ええっ? ほんとに? ほんとにサキのために?」
「うん。英語だから後で一緒に訳そう。とりあえず聞いてて。」
ベースを組んだ脚に乗せて優しく歌う。昨日、彼女の寝顔とこれまでの3日間のことを思い出しながら作った曲だった。
「…なんか、すごく綺麗だけど…。悲しい。なんで涙が出てくるんだろ? 日本語の訳教えて? タイトルは…。」
「『スプリングブルーム』だよ。自然界に春が来る現象のことなんだ。海は沢山プランクトンが産まれて水の色が変わって、そのプランクトンを食べて色んな生き物が成長して、繁殖して…。命を繋ぐんだ。陸では植物が一斉に芽を出して花が咲き揃うって感じかな。」
彼女の頬を伝う綺麗な雫を指で拭いながら続ける。
「スプリングは春で、ブルームは咲くって意味。俺にとってサキは名前の通り、胸に咲いた花みたいな感じだから。遊園地に行ったときも、水族館に行ったときも、桜が舞った風の中にサキの髪がなびいてすごく綺麗だった。だから……。俺はその風になりたい。」

