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続・飼っていたペットに飼われています。
第31章 春の風はいつも君に優しい。⑧(スイ目線)
 彼女が大学で使っていた電子辞書と例のノートを出して一緒に訳していく。簡単な単語以外は殆ど俺が教えてやったが。
「できた!」
「うん。偉いね。」
 サキが長い時間を掛けて黄色いノートを真剣に読みこんだあと、静かに尋ねる。
「……どういうこと? スイさん…いなくなっちゃうの? 消えちゃうの? 『毎年春の風になって君を見守る』って…。もう、会えないの………?」
「実は…、そうなんだ。でも、悲しいことじゃないんだ。サキが自然と俺に会いたくなくなるようになるから辛くないんだよ。」
「そんなこと…ある訳ない。こんなにスイさんが好きなのに!」
「俺より、もっと好きな人ができるんだ。そしたら、自然と俺のことは忘れられるよ。心配しないで。」
 安心させるように彼女の頭にぽんと手を添えて言い聞かせるが、すぐに振り払われる。
「嘘! そんなことない! ………いつ? いつ、スイさんと会えなくなるの…?」
「………多分、1年後。あと1回会ったら、サキはもう俺に会いにきてくれなくなると思うんだ。」
「そんな……。」
「来年俺と会ったら、そこからはもうこれまでのこと全部忘れてくれ。色々間違ったことしちゃったけど、サキを可愛がってたお義兄ちゃんがいたって心の片隅で覚えててくれたら嬉しいよ。」
「いやっ…! お兄ちゃんなんかいらない! 絶対に忘れないもん。スイさんのこと、忘れたりしない…。」
「忘れないと、サキが苦しむ。いまの幸せがなくなっちゃうんだ。」
「それでもいい。スイさんといられる事以上の幸せなんてないの。どんなに辛いこととか苦しいことがあったって構わない。」
「……本当に? 後悔しない?」
「しない!」
「わかった。それなら…、やれるだけやってみよう。」
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