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続・飼っていたペットに飼われています。
第39章 【微裏】欠けた心を埋めることは容易じゃない①(スイ目線)
 見えなくたってサキの反応と、こびりついている脳内の記憶でどんなシーンかわかる。
 飲み物を落としたあたりで体をこわばらせ、注射器で後ろから狙われた辺りでギュッと俺に強く抱きついて、そこから胸の中の彼女は震えが止まらなかった。
 所々嗚咽の混ざった悲鳴が大きくなっていき、秘部を弄られる度に腿に力を入れて足を閉じようとする。
「サキ…。辛かったらもうやめろ。」
「うっ…! だい…じょ…ぶ。」
 やがて意識が朦朧としたサキに目隠しが掛けられ、幾つものおぞましい玩具が入ったアタッシュケースが開かれたあたりで震えや悲鳴が止まりサキの力が抜けていく。
「……え? 何、あれ……? いや…嫌! 嫌ぁぁぁ……‼」
「…サキ! 貸せ!」
 俺の胸の中でジタバタと暴れる彼女の手から、リモコンを取り上げようとするも、固く握って離さない。
「サキ、もうやめろって! もういいから‼」
 このままじゃ本当に彼女の心が壊れてしまうと思った。
「だめ…っ! 大丈夫…。大丈夫だからっ! …………嫌ぁ! やめてーーっ‼」
「チッ。じゃあ噛め! 早く!」
 サキの頭をグッと押さえて自分の肩に悲鳴をあげる口を押さえこむようにすると、最初は抵抗していたが、俺が出てきたあたりから遠慮なく強く歯を立て始めた。
「ンーッ! ンンーーッ! ……!」
 首元に近い部分に甘い痛みが走り、着ている服にサキの涙や涎以外の新たな液体が流れて温かく染み込んでいくのを感じる。
「…よし、良い子。ほら見て? ちゃんと俺でしょ? サキは最後まで必死に抵抗して俺の大事な所守ってくれてたよ。」
 深く俺の肩を噛んだまま低く呻く背中を撫で付けて優しく語りかけると、次第に体の強張りや震えが取れてそのまま声を上げて砂嵐の中でさめざめと泣き続ける。
 ようやく、落ち着いてきたところで優しく続きを話した。
「…ごめんね、サキ。お父さんとお母さんのことも、サキのことも守ってやれなくて。本当に情けなくて嫌になるよ…。俺も消えたくなる。」
「……やだっ! 絶対にやだ!」
「わかってる。俺ももうサキのこと置いて1人で逝けない。サキの側にいて幸せにするのが自分じゃないと絶対に許せない。…好きだよ、サキ。」
「私も…っ! 私もスイじゃないと駄目なの…。スイが好き…。」
「じゃあ、キスしてもいい?」
「うん…。」
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