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続・飼っていたペットに飼われています。
第39章 【微裏】欠けた心を埋めることは容易じゃない①(スイ目線)
 口の端から顎の先まで広がる真紅に染まった唇に優しく触れるように口付ける。
 本当はもっと彼女の奥まで舌を入れて彼女を感じたいけど、今それをするのは性的なものを感じて酷だろうと思い、軽いキスを繰り返すと、綺麗な顔を汚す自分の血をペロペロとすべて舐めとった。
 再び視線を合わせると、サキが目を見開いて問いかけてくる。
「…スイ? ねえ、なんでそんなに舌も唇も赤いの…? ………何⁉ このすごい血……! まさか、まさか私がさっき………⁉」
 赤い血がドクドクと流れ続けるその場所を必死に抑えながらサキは半狂乱になって叫ぶ。
「……どうしよう! 止まらない! 救急車‼」
 震える足を必死に起こそうとして俺の膝から立ち上がろうとするサキの腰をなんとか押さえて止める。
「サキ、大丈夫だから…。多分ちゃんと調べたら普通の人間じゃないこともバレる…。落ち着いて…? もうちょっとしたら止まるから…。」
「でも! でも…! ねえ、顔色悪いよ! やだ! やだっ! スイ!」
「…サキ。落ち着いて…。…これくらい平気。…ちょっと寝てないからふらつくだけ…。側にいて…俺の手……握っててよ…。」
「スイ…! やだぁ…、やだぁ…‼ 置いてかないって言ったのに! ……スイ! ………………………。」
 遠くなるサキの声を感じながら、流石の俺でも1週間一睡もしなかったのはマズかったかと反省しつつ、このまま意識を手放してしまえばまたサキが消えてしまいそうで何より不安だった。
 俺の手を力強く握るサキの体温と温かい雫を感じながら最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。

「………泣くな、って…。頼むから…、もう…、どこにも…、行くなよ………?」
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