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続・飼っていたペットに飼われています。
第43章 君が月なら俺は(サキ目線)
 壮一郎さんの言う通り、凛子さんの料理はとっても美味しかった。スイの作ってくれるご飯はまるでお店に出てくるやつみたいだけど、凛子さんのご飯は温かい家庭の味がした。
 そう伝えると凛子さんは一層喜んで、余ったおかずをタッパーに詰めてくれている。
 ソファに座って食後のコーヒーを飲む壮一郎さんが少し言いづらそうに口を開いた。
「その…、妻からサキちゃんのご親戚の話を聞いているからこんなことは聞きたくないかもしれないが、私達は2人のことを自分の子供のように可愛く思ってるよ。たまには、こうやって気軽に顔を出してもらえると凛子も喜ぶし、私達をご両親の代わりだと思ってくれればなとさっき話していたんだ。ああ、スイくん。ちなみにうちの息子はもう結婚して幸せにやっているからおかしなことにはならないよ。」
「気を遣わせてしまって、すみません。もう大丈夫です。そんな風に言って頂けて嬉しいね、スイ。」
「うん、よかったね。サキ。あのピアノも懐かしくない?」
 隣の部屋にある大きな布を掛けたそれを見ながらスイが言う。
「ああ、ごめんね。サキちゃん。嫌な思い出もあるだろうから隠しておきたかったんだけど流石に気付かれちゃったか。」
「いえ、確かに伯母には強制的にピアノを習わされていたんですけど、元々は母の勧めで始めましたから。むしろ良い思い出なんです。」
「そうよ、あなた。サキちゃんはスイくんのことがなかったら音大に行くほどの腕前だったのよ。高校に入る頃からもう良いところからお声が掛かっていて…、あらごめんなさい。また私は見えたことをベラベラと…。」
「いい加減にしなさい、全く…。」
「いえ! あの…、良かったら久しぶりに弾いてみてもいいですか? 今日のお礼、というにはお粗末なんですが…。」
 優しく仲の良い様子の2人を見ているのが心地よくて、提案してみる。
 ……でも、本当は期待に応えられるのかちょっぴり不安だった。
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