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続・飼っていたペットに飼われています。
第43章 君が月なら俺は(サキ目線)

「まあ、嬉しい! だから言ったでしょう? 壮一郎さん! こんな風に隠さなくたって今日はサキちゃんの生演奏が聴けるって!」
「凛子‼ 君って人は本当に…!」
「いいんです、高木さん! …俺も久しぶりに聞きたいな、月の光をイメージしたあの曲。この上の湖は特に月が綺麗に見えるから。」
「……そうだね。私もあの場所にはこの曲がぴったりだと思う。」
上手く高木さん夫妻を仲裁したスイがピアノに掛かった白い布をサッと外してくれたので、椅子に座らせてもらうと蓋を上げてモノクロの鍵盤に指を置いた。
「では、失礼します。」
この曲はすごく思い入れがあるから、何年ぶりかでもまるで昨日まで弾いていたかのように手足が勝手に動く。
悲しいとき、辛いとき、スイを譜面台の横に置いて集中しながらこの曲を奏でていると貼り付けている微笑みを外して思う存分泣くことが出来た。
溢れた涙を瞬時にスイが青い舌で舐めとってくれるから、叔母さんにも叔父さんにも侑斗くんにも気づかれずに済むの。
そういう優しいところは変わらない。あなたがいるから、私はいつも外でいい子を演じられるんだよ。だから…、だからね…。
……………凛子さん。お願いです。もし、この声が聞こえてるなら彼には気づかれないように2人だけでお話する時間をもらえませんか?
演奏が終わって指を浮かせながらそっと伺うように、その人を見ると優しく微笑んで頷いてくれる。
「凛子‼ 君って人は本当に…!」
「いいんです、高木さん! …俺も久しぶりに聞きたいな、月の光をイメージしたあの曲。この上の湖は特に月が綺麗に見えるから。」
「……そうだね。私もあの場所にはこの曲がぴったりだと思う。」
上手く高木さん夫妻を仲裁したスイがピアノに掛かった白い布をサッと外してくれたので、椅子に座らせてもらうと蓋を上げてモノクロの鍵盤に指を置いた。
「では、失礼します。」
この曲はすごく思い入れがあるから、何年ぶりかでもまるで昨日まで弾いていたかのように手足が勝手に動く。
悲しいとき、辛いとき、スイを譜面台の横に置いて集中しながらこの曲を奏でていると貼り付けている微笑みを外して思う存分泣くことが出来た。
溢れた涙を瞬時にスイが青い舌で舐めとってくれるから、叔母さんにも叔父さんにも侑斗くんにも気づかれずに済むの。
そういう優しいところは変わらない。あなたがいるから、私はいつも外でいい子を演じられるんだよ。だから…、だからね…。
……………凛子さん。お願いです。もし、この声が聞こえてるなら彼には気づかれないように2人だけでお話する時間をもらえませんか?
演奏が終わって指を浮かせながらそっと伺うように、その人を見ると優しく微笑んで頷いてくれる。

