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続・飼っていたペットに飼われています。
第43章 君が月なら俺は(サキ目線)

「いやぁ…! 素晴らしいね! 本当に素晴らしかったよサキちゃん。」
「そうでしょう? 私、なんだか涙が出てきちゃったわ。」
目元を抑える凛子さんの肩を優しく抱く壮一郎さんを見て、どうやら喜んで頂けたようだとほっとしながら蓋を閉じようとすると、いつの間にか隣に立っていたスイがその手を止めながら真面目な顔で言う。
「違う。違うよサキ。こっちじゃない。俺はこれも好きだけど、こういう場ではあのコンテストで優勝した時の方の曲を聴いてもらうのがいいんじゃないか? ……ねえ、こんな幸せな日に何が悲しいの? お父さんとお母さんのこと思い出しちゃった?」
いつの間にか溢れそうになっていた目の下の雫を心配そうに 彼は親指でそっと拭ってくれる。
「あ…。ごめん! じゃあベートーヴェンじゃなくてドビュッシーの方だね。ごめんね! これは……、お2人がとっても喜んでくれたから感動しちゃって! もう1回弾き直してもいいですか?」
「ええ! もう好きなだけ! いつまでも聴いていたいわぁ…。でも、そろそろ頼んでいたケーキが出来上がる時間。スイくん悪いんだけど、この演奏が終わったら壮一郎さんと取りに行ってもらえる? 冷たいお茶も切らしてしまったから一緒に買い物もお願いできるかしら?」
「勿論いいですよ。じゃあサキ、大丈夫? すぐ弾けそう?」
「全然大丈夫! じゃあいきますね。」
「そうでしょう? 私、なんだか涙が出てきちゃったわ。」
目元を抑える凛子さんの肩を優しく抱く壮一郎さんを見て、どうやら喜んで頂けたようだとほっとしながら蓋を閉じようとすると、いつの間にか隣に立っていたスイがその手を止めながら真面目な顔で言う。
「違う。違うよサキ。こっちじゃない。俺はこれも好きだけど、こういう場ではあのコンテストで優勝した時の方の曲を聴いてもらうのがいいんじゃないか? ……ねえ、こんな幸せな日に何が悲しいの? お父さんとお母さんのこと思い出しちゃった?」
いつの間にか溢れそうになっていた目の下の雫を心配そうに 彼は親指でそっと拭ってくれる。
「あ…。ごめん! じゃあベートーヴェンじゃなくてドビュッシーの方だね。ごめんね! これは……、お2人がとっても喜んでくれたから感動しちゃって! もう1回弾き直してもいいですか?」
「ええ! もう好きなだけ! いつまでも聴いていたいわぁ…。でも、そろそろ頼んでいたケーキが出来上がる時間。スイくん悪いんだけど、この演奏が終わったら壮一郎さんと取りに行ってもらえる? 冷たいお茶も切らしてしまったから一緒に買い物もお願いできるかしら?」
「勿論いいですよ。じゃあサキ、大丈夫? すぐ弾けそう?」
「全然大丈夫! じゃあいきますね。」

