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続・飼っていたペットに飼われています。
第44章 太陽のようだと君は言うけれど(スイ目線)
 先程までの切迫した空気や、髪をふり乱し、指を鍵盤に叩きつけ、ペダルを親の敵のように強く踏みこんで激しく演奏するスタイルと違い、今度は打って変わって普段通りの彼女のイメージらしく優しく撫でるように指を移動させ、美しく音楽を奏でる姿に見惚れながら俺はあることを確信して複雑な気持ちになっていた。
 サキはまだ全く傷が癒えていない。あの男のこと、俺のこと、仕事のこと、それに1番は両親のことだろう。
 俺に出逢わなくたって、あいつは心に狂った狂気を抱えたあの男に捕まっていた。それでもその狂気をサキに見せず一生隠し通してくれるなら、俺といるよりマシだったか? そうだとしても絶対そんなことさせないが。
 それに……無理だ。どんどん美しく成長するこいつの前で自分の欲望を抑え続けることなんてどんな聖人でも不可能だろう。
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