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続・飼っていたペットに飼われています。
第50章 宇宙の子⑤

導かれるように湖に向かって森を駆け抜けていると、トオルが足を緩めてトワに確認した。
「悪い、トワ。少しだけ寄り道してもいいか? 行きたいところがあるんだ。」
「どうしたの? 私は構わないよ。」
トオルは小川の近くの木の前に積み上げた小さな石の前にしゃがんで手を合わせる。
「美咲、行ってくる。ごめんな…、一人にして。」
それをそっと後ろから見ていたトワが近くに咲いていた白い花を摘んでその石の前に置き、トオルの横にしゃがみこんで同じのように手を合わせながら口にする。
「美咲ちゃん、お兄ちゃんのことは私が必ず幸せにする。貴方のこともきっと迎えに来る。いつかの未来でトオルと貴女が出会えるように毎日祈るから。」
「トワ、お前なんで美咲のこと知って…。」
「なんか、門番さんの、スイのお父さんの話聞いてから私も少しだけ感じるようになった。本当に感覚程度だけど。死産みたいな感じだったんだね、妹さん。」
「ああ。出産の前日、母さんが俺とスイをさっきの門番、つまりスイの親父に預けに来たんだけど、その時からもう真っ青でさ。多分自分はこの子を産んだら死ぬから、生まれた赤ん坊とスイを守ってほしいって言ったんだ。名前は美咲よ、って。お願いね、お兄ちゃん。って。それが母さんと交わした最後の言葉だったな…。」
「トオル…。」
ギュッとトワがトオルの頭を抱きしめる。
トワの薄い胸から心臓の音がトクントクンと聞こえる優しいリズムと温かい体温を感じて、トオルと自分の心が解れていくのを感じた。
「…やめろよトワ。俺は母さんとの約束を何一つ守れなかった。美咲も産まれてすぐに死んだし、母さんも殺された。唯一残されたスイもこのままだと次の日に始末されるのがわかって、なんとかしようとしたけどこんな姿だ。きっと俺のこと恨んでるよ。あげく、腹違いの妹にまで手を出した馬鹿兄貴だってさ。」
言葉では拒みながらも、トオルはトワの背中に手を回して顔を埋めながら絞り出すように話す。
俺の頬に温かいものが流れる感覚がするから、きっと泣いているのだろう。
「悪い、トワ。少しだけ寄り道してもいいか? 行きたいところがあるんだ。」
「どうしたの? 私は構わないよ。」
トオルは小川の近くの木の前に積み上げた小さな石の前にしゃがんで手を合わせる。
「美咲、行ってくる。ごめんな…、一人にして。」
それをそっと後ろから見ていたトワが近くに咲いていた白い花を摘んでその石の前に置き、トオルの横にしゃがみこんで同じのように手を合わせながら口にする。
「美咲ちゃん、お兄ちゃんのことは私が必ず幸せにする。貴方のこともきっと迎えに来る。いつかの未来でトオルと貴女が出会えるように毎日祈るから。」
「トワ、お前なんで美咲のこと知って…。」
「なんか、門番さんの、スイのお父さんの話聞いてから私も少しだけ感じるようになった。本当に感覚程度だけど。死産みたいな感じだったんだね、妹さん。」
「ああ。出産の前日、母さんが俺とスイをさっきの門番、つまりスイの親父に預けに来たんだけど、その時からもう真っ青でさ。多分自分はこの子を産んだら死ぬから、生まれた赤ん坊とスイを守ってほしいって言ったんだ。名前は美咲よ、って。お願いね、お兄ちゃん。って。それが母さんと交わした最後の言葉だったな…。」
「トオル…。」
ギュッとトワがトオルの頭を抱きしめる。
トワの薄い胸から心臓の音がトクントクンと聞こえる優しいリズムと温かい体温を感じて、トオルと自分の心が解れていくのを感じた。
「…やめろよトワ。俺は母さんとの約束を何一つ守れなかった。美咲も産まれてすぐに死んだし、母さんも殺された。唯一残されたスイもこのままだと次の日に始末されるのがわかって、なんとかしようとしたけどこんな姿だ。きっと俺のこと恨んでるよ。あげく、腹違いの妹にまで手を出した馬鹿兄貴だってさ。」
言葉では拒みながらも、トオルはトワの背中に手を回して顔を埋めながら絞り出すように話す。
俺の頬に温かいものが流れる感覚がするから、きっと泣いているのだろう。

