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続・飼っていたペットに飼われています。
第16章 大人になった君と狂った歯車。①(スイ目線)
 パーティーを途中退席し、静かな車で事務所まで戻ったあと、やっとサキが震えながら口を開く。
「……どうして?」
 黙ったままの俺に涙と怒りを混ぜた声で続ける。
「…なんで歌わなかったの? こんな大事な日に!」
 その姿に刺激され、ずっと我慢してきた想いをぶちまけてしまった。
「……お前こそ! お前こそ何なんだよ! 毎日毎日! 酒ばっか飲んで帰ってきて頭おかしいのか⁉ 自分の女が他所の男に抱かれてる姿見ながら、サキの歌なんて歌えるわけないだろ!」
「そんなのワガママだよ! みんな我慢して頑張ってるのがわからないの⁉」
「お前はそもそも俺のために頑張ってたんだろ⁉ こんなの本末転倒だ! 今すぐやめろ!」

「…違うよ。」
 俺の言葉を静かにサキが否定する。
「は?」
「スイだけじゃない。コウヘイさんも、ヤスさんも、リョウさんも裕美さんも、それから応援してくれるファンの人やスタッフさんも、みんなのために頑張ってるし、他の人もきっと同じ気持ちだよ。スイは…そんなこともわからなかったの?」
「…俺のためじゃないのか?」
「スイは大切だけど、もうそれだけでは片付けられないくらい色んな人を巻き込んで、支えてもらって今の私達はいるんだよ?」
「…俺には…わからない。こいつらのことは大事だけど、サキを犠牲にしてまでは無理だ。」
「…みんな優しいから、気づけないんだね。私を言い訳にして甘えてるよスイは。そんな人に私達は大切なボーカルを任せてるなんて。」
「俺はサキのためだけに生きてきたし、これからもそうだ。」
「私だってスイのために生きてるよ。でも、2人だけでは生きていけないの。わかって!」
「わかんねえよ! 今までお前のこと黙って見守ってきたのは、お前が俺のために頑張ってると思ってたからだ。それが違うなら…、」
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