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愛と欲と嘘
第1章 愛
「まだ終わんねーの?」
そう言って隣にやって来た彼は、座っている私に目線を合わせるように屈んで一緒になってパソコンを覗く。
こいつのこの距離感が、私は苦手だ。
触れそうで触れない。
届きそうで届かない。
だけど彼のスーツから漂う香水の匂いはしっかりと届く。
………女物の香水なんか使っちゃって。
「もう終わるわよ」
「じゃあ飲み行こうぜ」
「え、今から?」
誘いに驚いて隣を見るとかなり至近距離で焦った。
焦ったけど必死で平然を装い再びパソコンに向き直る。
だからイヤなのよこの距離。