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マッサージで陥落したツンデレ美母
第1章 渋滞
章 渋滞

「あーあ。これは参ったわね」

 理沙はハンドルから離した片手をうんざりしたように額に当てた。

「婆ちゃんちを出てからもうかれこれ2時間これだもんな」

 電光掲示板にはこの先渋滞50キロと表示され、車列はびくとも動かない。盆明けの帰省ラッシュに事故が重なったようだ。

「あと2キロでインターチェンジがあるから、いったん出て休んでいいかしら。もう肩と腰ががくがく」

「俺が交代できればいいんだけど、免停中で悪かったな」

「しょうがないよ。明彦が交代できたってずっと座ってなきゃならないのは同じだし。ちょと出てお茶でも飲んで、手足を伸ばしたいわ」

 30分後にその2キロ先のインターチェンジをようやく出たが、不景気のせいか行けども行けどもあったのは閉鎖されたドライブインと喫茶店の廃墟だった。

「だめだな、こりゃ」

「あ、ちょっと待って。あそこに看板が」

それは「休憩○○○○円」と書かれたラブホの看板だった。

「母さん、あれはラブホだぜ」

そそっかしい理沙は疲労のあまり条件反射的に声をあげた風情だったが、顔を赤らめながら、

「いいよ、ちょっと休ませてよ」

「まあ、俺でよかったけどさ、助手席に乗ってんのが他の男だったらどうすんだよ」

「わ、わかってるわよ、あなただから言ってるんでしょうが」

「この前は彼女に間違えられたし、俺だってわかんないぜ」

 理沙は顔を真っ赤にして急ブレーキを踏んだ。

「人が運転で疲れてるときに、どうしてからかうのよ」

 理沙は少し涙ぐんだ目で明彦を睨みつけた。
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