初恋
第5章 君がくれたもの
ため息をつきたくなるほど柔らかな唇。
何処にもいくあてを持たないキスは、とにかく優しくて……穏やかで。
この時間は「愛」を排除していた。たぶんだけど、あるのは「恋」に違いなかった。
俺は君の肩に手をまわして
それと同時に、二人は砂場の上で倒れた。
唇を離して君の頭を胸に抱き寄せると、君はゴロゴロと喉を鳴らした。
俺は見苦しく咳き込みながら……それでも、残った力のすべてで君を抱き締めた。
....
なぁ……知ってたか?
この公園にはサクラとイチョウの木の
両方が、植えてあるんだ。