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うつむきピーターパン
第1章 誘惑

隣では、真紀が少し甘えたような目で自分を見上げていた。
「また女の人ばあっかし見てる。」
少し垂れめがちの目と、柔らかそうな頬の肉のおかげで真紀の顔には優しさと女の子らしさがある。
良彦が軽く頬を撫でると、真紀は怒ったようなふりをして歩を早めた。
その斜め後ろについて、梅田の繁華街の中をぬっていく。
もう三日ほど自分のアパートには帰っていなかった。
良彦は大学のすぐ近くに一人で住んでいたが、最近では週の半分ほどを真紀のアパートで過ごしていいる。
梅田から大学の最寄りまでは30分ほどで着くのだが、大学には週3くらいでしか顔を出さない良彦にはわざわざ電車に乗ってまで帰る理由がなかった。
真紀は梅田の専門学校に通っていて、バイト先にも近いしその方が便利なのだ。

