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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
「いえ、運転疲れないかなと…」

「ああ、飽きるな。」

ワタシは水筒に入れた珈琲を用意した。

「インスタントですけど…」

「おう…ありがと…
でもそんなの用意するから家出カバンになるんだろ?」

「そうですね。車だからついつい…」

「でも、ありがと…美味いよ。」

この時は家出カバンが起こす災いをアタシは知らなかった。

「山の中だからか、日が落ちるの早いな。」

「周りの様子もわからないですね。」

途中から砂利道に変わり、この道でいいのかと思うほど細い所もある。

「まあ、秘境だからな。」

「そうですね。」

ワタシは窓に顔を付けて外を見るけど、脇の木々より奥は全く見えなかった。

「ルリ?」

ハルトの方を向くと手を差し伸べられる。

「ん…」

手を重ねるとグィッと引っ張られ、ハルトの肩に頭を乗せる格好になった。

「ちょっと怖いんだろ?」

「大丈夫です。ただ、本当にこんな山奥に宿あるのかと…」

「ちゃんとナビに載ってるし、大丈夫だよ。猪が待ってるからな。」

「出たらどうします?」

「連れてって鍋食べ放題になる。」

「っふふ…」

「ルリは猪食べたことある?」

「ないです。」


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