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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
女将さんのことを思ってハルトは大きな声で話していた。

「それは良かったです。ところで…」

「鍾乳洞があって凄かったよ。」

「鍾乳洞ですか?
洞窟風呂でなくて?」

「奥に、立ち入り禁止の札があって…」

「あの…洞窟風呂は当館の自慢の一つですが、鍾乳洞はさすがにございません。
観光名所になってしまいますわ。」

「奥に、いっぱい垂れ下がってたぞ?」

「お客様…見間違いか神隠しに遭われたのでは?」

「神隠し?」

「はい。行方不明になって、見知らぬ場所に突然通じてしまうんですよ。
こんな山里ですからね。

そういうのを神隠しと言うんです。」

ハルトはワタシに同意を求めたいが、混浴したことはおおっぴらに言えずに黙りこむ。

「それでお帰りが遅かったんですね。心配しました。」

「そうか…
ルリ、明日探検して神隠しに遭ってこい。」

女将さんの話に驚くけど、ハルトに話を合わせた。

「神隠しに遭おうと思って遭うのかわかりませんが、探検してみます。」

「それとですね。私大変な粗相をしてしまいまして…
茶碗蒸しをお出しするのを忘れてしまったのですが、今からご用意してよろしいでしょうか?」

「あっ…」


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