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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
ハルトはわざわざ振り向いて嬉しそうに笑いかけてきた。



「なんだろ、これ、忍者みたいだな。」

ハルトは胸の前で人差し指を立てて握った両拳を上下に組んで、首を左右に揺らす。

「うふふっ」

ワタシもそのポーズを真似た。

「くのいちめっ、拙者と勝負じゃ、忍法筍の術…」

ハルトがワタシの腰を掴んで自分の腰を打ち付ける。

「筍…ないみたいですよ?」

「いつも盛ってる訳じゃないっ…」

ハルトがプイッと顔を背けたまま部屋を出ていく。

「あっ…待ってください。」

ワタシも慌てて後を追った。

「あら、お支度出来上がりましたね。作務衣もお似合いですね。」

「寒い?」

「いえ、その服のことですよ。」

玄関でワタシたちを待つ女将さんに微笑まれた。

地下足袋というのを履いて、道具をいれた篭を背負って山道を歩く。
途中からは道から反れて笹の生える斜面を登った。

「拙者、修行は嫌でござるよ。」

忍者になりきったハルトに女将さんと二人で笑った。

「着きましたよ。」

その一帯だけ竹やぶになっていた。

「かぐや姫とか出てきそうですね。」

「ルリ、今日はヘンテコとぐれてる奴の話で、明日はかぐや姫ね。」

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