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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
ハルトの寝伽噺のリクエストが入った。


「ここ掘れわんわん、そして小判がザックザクっ♪」


女将さんに目星を付けてもらい地面を掘る。
ハルトは花咲か爺さんの歌を作って歌いながら掘っていた。


「女将さん、これ、そうじゃね?」

女将さんがしゃがみ、穂先に被った土を手で払うのを見てハルトもしゃがみ込む。


別に、全く意識していないだろう二人の仕草に、ワタシは嫉妬していた。


「そうですよ、では周りを深く掘っていきましょうね。」

女将さんに促されて、ハルトは立ち上がり、鍬を振りかぶる。

「だめですよ。ここからは、少し大きめに優しく掘ってあげないと…」

それを聞いてハルトはスコップに持ち替え、丁寧に大きく掘り始めた。


「女性や子供を相手するように、優しく丁寧に…」


女将さんの言葉に、ハルトがチラッとワタシに振り向いた。

「あっ…」

ワタシも地中に穂先を見つける。

手持ちの小さなスコップに替えて、周りの地面を掘り始めた。


「ここだぞ、わんわん。
ここ掘れわんわん。」


ハルトの不思議な鼻歌に合わせ、それぞれの筍を掘り進めていった。


「もう、お二人とも十分ですよ。」


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