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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
最後のお世話と女将さんが汚れた藁を取り除き、新しいものを追加していく、ハルトはもちろん産卵を待つ鶏の藁を代えた。

作業が全て終わり、たぶん女将さんは次の仕事があるはずだ。

でも何も言わず鶏に話しかけるハルトを見守っていた。

そろそろ女将さんの迷惑になると言いに行こうと思った時だ。

ハルトが唇に指を当てる、静かに近寄ると、鶏の尾っぽの辺りが膨らんでいた。

白い殻が見え始める。
そこからはあっという間だったが、
産み終えたとたんに鶏が尾を広げて卵の上に乗り見えなくなってしまったのだ。

ワタシはつい嬉しくなってハルトの袖を引っ張ってしまう。

ハルトも唇に指を当てたままうんうんと頷いていた。

「良かったですね。これでハルトさんは卵のお父さんですよ。

雛は孵ると最初に見たものを親と思い着いてまわりますからね。
頑張ってください。」

女将さんと一緒に沢山の卵の乗った籠を持って勝手口まで運んだ。

「お食事までだいぶ時間がありますから、洞窟風呂に行かれたらいかがですか?
朝は閉めているのでどうぞ。朝のお風呂も神秘的ですよ。内密にね。」


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