この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第27章 step27 二十一段目…初夏
「しかし?」
「個人的なお願いが、いや、これはどうしても譲れないお願いなのですが…
ルリとの交際は引き続き許してください。」
「え…」
「とは言っても交際していたことすらご存知なかったようですが、
放課後、事務所、受託先のビル管理の事務所ですが、毎日そこに来てもらい、会っています。
ルリの頑張りもあると思いますが出会って約一年、学業には影響させていません。むしろ成績は上がっていると思いますが…」
「一年にもなるの…私は何も知らないまま…
でもやけに図書館で勉強するって…ハルトさんと会ってたのね。」
「お母さん、黙っててごめんなさい。
でもね、言えなかったの…
お母さんがワタシの為に一生懸命働いているのに、ワタシだけうつつをぬかしてるなんて…」
「それは…」
言いよどむルリの母親の態度に、俺は以前感じた思い、匂いのようなものを嗅いだ。
今日はこれ以上話しても混乱させるだけだし、ある程度の手応えがある。
俺の勘が外れることはないだろう。
「堅苦しい話も疲れますでしょう。ケーキでもいかがですか?」
「そ、そう、ハルトが美味しいケーキ屋さんを見つけてくれたの…」